『落語物語』舞台挨拶レポート

  

これまでの御来場御礼といたしまして、4月8日(金)東劇にて林家しん平監督をはじめ、映画に出演している落語家の皆さんによる舞台挨拶を行いました。
余震が続く中わざわざ劇場まで足を運んでいただいた皆様、本当にありがとうございました!
当日ご来場できなかったお客様もいらっしゃると思いますので、舞台挨拶の模様を少しお届けします。

<柳家わさび>
私、監督から主役級と呼ばれています、たぶん主役、今戸家小春役の柳家わさびでございます。
本来初日であったはずの次の日、13日の1回目の上映にまいりまして、客席の一番うしろの一番端のすぐ逃げられる場所から(笑)、お越しくださいましたお客様に対して、心の中で舞台挨拶をさせていただきました。
その時にあらたて映画を観まして、いかに娯楽が大事かを映画を通して感じました。そんな娯楽を届ける我々、噺家という芸人も皆、同じ人間でございます。高座の上では、にこにこふるまっていますが、舞台裏では立ち直れないほど辛い時もございます。皆様も同じ時があると思いますが、そういう時こそ支え合う、人と人とのつながりが大事なんだと思いました。我々はとくに親以上の人と人とのつながりが多く、映画にもそのつながりが描かれています。これから世間に出て羽ばたいていくような、私と同世代の若い方に、ぜひ映画をご覧いただいて、人と人のつながりを感じていただきたいです。
この場をお借りして、監督、スタッフ、宣伝をしてくださった皆様、そして、お客様方に深く御礼申し上げます。これからも、このつながりを映画「落語物語」を大切にしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

<春風亭ぽっぽ>
23歳、アイドル落語家をいただきました(笑)鶴家丸千代役の春風亭ぽっぽでございます。
噺家の役ということで心情はよく理解できるのですが、そのまま演じてしまうと春風亭ぽっぽという人物になってしまうので、できるだけ鶴家丸千代という役の人物を一生懸命、考えて私なりに演じました。

<桂扇生>
映画の中では、テレビ局のディレクター役でございます、桂扇生でございます。
初めての映画出演でこれを機に映画スターになれるかなというきっかけを監督からいただきました。(笑)私が演じたテレビ局のディレクター役は、ぽっぽちゃんを口説くような場面がありまして、私の実像とは違いますが…なるべく、イヤラシイ目をしようと苦労しました。(笑)
ぽっぽちゃんの演技は大変に上手ですよ。聞いたら、噺家になる前は演技の勉強をしてたそうですね。皆さんも観終わった後、なるほど上手いね!と思うと思いますよ。

<林家時蔵>
落語噺家教会の幹部の海老家賀楽役を演じました、林家時蔵でございます。
監督がすばらしいのは、キャスティングがすごく上手い!私もいろいろな監督とご一緒しましたが、こんなにキャスティングが上手い監督はいません。持って生まれたものでしょうね。非常によく人を見ているのでしょう。そして、すぐOKを出してくれる。(笑)映画というのは、テイクを何度、重ねても90%以上は、最初のテイク1が一番良いんですよ。もと我々、噺家は演技が苦手だから監督は「これでいいや」と思ったのかもしれませんが(笑)一発でOKを出してくれると大変やる気が出るんですよ。ちゃんと的確な演技指導をしてくれるので、皆、気持ちよく仕事できましたね。

<隅田川馬石>
山海亭心酒役の隅田川馬石です。監督からお話をいただいた時に、心酒役のモデルで昔、実在した噺家のことを伺いまして、私自身はその噺家さんとはお会いしたことはないのですが噂では聞いておりましたし、監督のお話されるイメージのまま演じればいいのかなと思っていました。最初、キャラクターのコンセプトを聞いた時に、その中で噺家の部分はそのまま演じて、モデルになった噺家が元となった部分は、近づけようというのも難しいので、自分の中にあるものから一生懸命、引き出そうと監督のご指導のまま演じました。また監督からは、落語をまっすぐにやってくれと言われていましたので、そのことを第一に考えておりました。また役作りの中で嬉しかったのが、心酒役は普段着がジャージ姿なので、その理由を監督にお聞きしたら、「あの噺家はストイックで、普段ジョギングなどで体力作りをしているんだよ」とおっしゃって、私と同じだ!と思いました。私自身も同じくジョギングで体力作りをしているので、似ている部分があると安心して演じさせていただきました。

<林家しん平監督>
皆様、こんばんは。監督をさせていただきました、林家しん平です。
本来ならば、最終日ではなく初日という栄光の舞台挨拶を予定していましたが、皆様ご存知のように大きな地震が東北を襲いまして、いろんなことがガタガタになってしまいました。
その中でも映画や笑いは必要なものだと、少しずつ上映が再開されてきましたが今、被災地の方々にも<笑い>が必要されていると思います。<笑い>というものが皆様の心の中に灯って、日本が復興していくように祈っております。
落語家の映画を撮ろうという立ち上げの時、自分自身が落語家なので、やっぱり落語家さんに大勢出ていただいて、皆さんの新しい扉を少しでも開けられたら良いなと思っていました。また<喜び>や<死の哀しみ>などいろんな演技をしていただいてますが、全て落語家や皆さんの生活の中に当たり前のようにある<日常>と変わりないことを描いています。観終わって皆さんがほっとされたり、落語を見直してみようかな、などいろんなことを感じていただける映画にしました。落語協会の会長の柳家小三治師匠からは大変、光栄なお褒めのお言葉をいただきまして、すばらしくハードルが高くなってしまいましたが(笑)楽な気持ちで寄席に映画を見に来るような気持で見ていただけると、心にあたたかいものが残ると思っております。本日はありがとうございました。
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