◎落語物語を思い立った経緯を教えて下さいここ数年で何本もの落語の映画が作られたのは嬉しかったけど、その世界をちゃんと描いてないと思ったんです。このままだと落語も落語家も誤解されるぞと。普段着物で過ごしてる芸人は数人しかいないし、日常会話に古くさい言葉も出てこないしね。 だから僕は当たり前の落語家を描きたかったんです。 ◎キャスティングについて小六役のピエール瀧さんは、普段大勢の観客の前での喋りやギャグに慣れてるから、笑いのセンスがいい。だからわざとキャラ付けをせず、彼自身が持ってる人間性を出すよう心掛けました。僕は当初から小六の女房役を、田畑智子さんに当て込んで台本を書きました。ぽんぽん亭主をこきおろすけど、きちんと支えてくれるチャーミングなおカミさん。落語家が抱く最高の理想像を演じてくれました。 柳家わさびは、背ばかり高くて頼りない雰囲気。あれで29歳って凄い、しかも面白い。小春役は、コミュニケーション下手で最初の一歩がなかなか踏み出せない現代の若者の象徴。当初落語家じゃ無理と思ってたけど、わさびならイケるなと直感したんです。 ◎落語家が大挙出演することについて昔は落語家を使った映画がいっぱいあって、それに強い憧れを持っていました。きちんと役者をしててね。今の落語家だって、これだけのことが出来ることを知って欲しかった……といっても僕と同じ世界の人たちなので、お願いしやすかったんですけどね(笑)。 ◎落語家が作った落語映画の誕生ですねみなさん、落語家の世界はこうなんだと思って下さって結構です。無理をしないのが落語の世界。落語の面白さって、結局人間性の面白さなんですよ。そんな僕の思いが詰まった映画が『落語物語』です。 |